使い込まれた木材は、人工的な物とは違ってアンティーク感が増し、より魅力的になります。それを目的として古材を利用されている方は多いと思いますが、実際その利用シーンは適切なのでしょうか?また魅力を引き出せているのでしょうか?
今回は、古材の利用シーンを一覧としてご紹介します。「このような使い方もある」ことを知っておきましょう。
日常
自宅において、家具やインテリアなどの日常に溶け込んだ古材は、もっとも多い利用シーンのひとつです。その古めかしい雰囲気の古材は、レトロでノスタルジックな気持ちにさせてくれるでしょう。
人はそのような気持ちになることで、懐かしさや古きよき時代を感じる生き物です。それらには心地よさがありますので、日頃のストレスやフラストレーションの解消につながっていると考えられます。
さらに、木材には新品や古材の区別なく、金属にはない暖かみがあります。利用シーンを日常とすることで、常にそれを感じていたいという気持ちもあるのでしょう。
従来の古材の扱いは、住宅作りの素材がない際の代用、または単純に再利用をする実用が目的でした。しかし、物で溢れる現代はその意識が希薄で、心の面への作用も目的のひとつになっているのかもしれません。
修繕または改修
古い建築物の修繕や改修に新しい木材を使用するのは、新品が醸し出す雰囲気や色彩の関係で不自然です。何せ木の年齢がまったく違うのですから、表れる特徴が異なり違和感を覚えるのはどうしようもないことなのです。
経年劣化によるチャコールグレーと、新品のSPF材のライトオークを見比べれば、その差は歴然でしょう。そんな、まったく色合いも様相も何もかも違う木材を同居させてしまえば、そこには不自然しかないのは当たり前です。
しかし、古い建築物に対して古材を用いた修繕、改修をすることで、周囲にマッチした違和感のない仕上がりとなります。同じ修繕、改修であっても、古い住宅なのか新築なのかなど、その利用シーンで古材が選ばれることもあるのです。
もっと具体的にいうなら、お寺や神社等の歴史的建造物、古民家など、客観的に見て築年数が長いと明らかなものが当てはまります。それらの建築物の修繕や回収には、その年代のもの…つまり「同い年」の木材を用いる方が自然なのは、当然といえます。
居酒屋や飲食店
居酒屋や飲食店などにおいて、内装を古材で構成することがあるのですが、実はこれには意味があるのです。まずひとつめが、レトロ感などの懐かしさを演出することで、お客さんの気持ちを「落ち着かせる」ことに役立ちます。
もうひとつは、古材からノスタルジックな雰囲気を出せることです。その雰囲気に対して見合った料理を提供することで、目前の料理の質の格上げを図ってくれるのです。
毎日の仕事に疲れたサラリーマンなどは、落ち着いた気持ちと雰囲気が与えられることで、明日への活力となるでしょう。とくに男性は、落ち着いた感じや懐かしめる雰囲気というのを好む傾向があるので、居酒屋には古材がよく用いられています。落ち着いた空間を求める飲食店や物販店も多くイタリアン、カフェ、バル、バー及び雑貨店等でも多く使用されています。
補強
古材はすぐに壊れると思うかもしれませんが、実は一般的な新品の木材よりも強度に優れていることがあまり知られていません。古い木材というのは、年月を経て内部の水分が蒸発し、ますます強度を高めていく性質があるのです。
同じ木でも、伐採した直後と100年後では、引っ張り強度も圧縮強度も100年後の木の方が上回るというデータがあります。そんな古材を、大工さんがノミで加工しようとした際、ノミの方が負けてしまって破損してしまうこともあるのです。
そんな強度に優れた古材なのですから、建物の補強というシーンでも、存分にその力を発揮してくれるでしょう。先に修繕、改修について述べましたが、それは色合いや雰囲気だけでなく「強度も求めている」のも事実なのです。
大黒柱であれば、大黒柱には硬いケヤキが使われること、そして長い年月により強度を増しているという事実があります。その場合、鉄に勝るとも劣らない強度になることもあり、いかに古材が強靭であるかが伺えるでしょう。
ただし、強度を保ったまま年月を経ることは難しく、多くは内部で虫に食われてしまったり腐ったりするようです。もっとも、業者等できちんと管理された古材であれば強度については、安心して選ぶことができるでしょうし、オイル仕上のようなで素材感を見せる仕上では自身でメンテナスも可能で油分(栄養分)をしみ込ますことでさらに強度が増し経年変化が楽しめてお店の歴史観を語れます。
リサイクル
先に再利用という文言で記述していますが、古材は、リサイクルという観点で利用されることも少なくありません。これまでの内容のとおり、「まだ使える」どころか「積極的に使いたい」ものとなるので、サスティナブルな素材として人気が急上昇しています。
現に、古材を輸入したりリサイクルを専門にしたりしている業者は多く、需要があります。実際、上記でご紹介した利用シーンがあるわけですから、古材の出番というのは、かなり多いと考えられるのです。
さらにこれまでご紹介した以外にも、インテリアやその他小物としても加工、利用ができます。つまり古材というのは、汎用性に優れた「素材」としての価値もあるということですから、リサイクルが活発なのも頷けます。
もっとも、扱う業者には「当たり外れ」がありますので、業者を通して古材を購入するなら、それなりのリサーチが必要です。
まとめ
古材の利用シーンは、皆様が思うよりもずっと多くのものがある、そしてそんな利用シーンもあるのかと驚かれたと思います。
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